職人気取り



包丁研ぎにはまる。


まだ、台所の奥に４本
包丁が残っていた。


めんどくさいとは思いつつ
精神病理的誘惑できのうの
砥石を取り出す。



結局、研ぎ始める。


無心に研ぐ。



研ぐ。


研ぐ。




４本で２時間。



アホである。



しかし、一瞬、職人気分を
味わえた。


全くあきない集中できた
２時間であった。


サビだらけのボロボロの包丁。


捨てようと思っていた。


何十年も前に、高知の龍河洞で
買った物であった。


１０分、２０分するうちに
なぜか甦ってくる気がした。


もしかして、


もしかして、




私のDNAに職人の血が？




前世や祖先にそういう人が
いたんだろうか？



中学出て、職人になっていれば
今頃は、失業せず、充実した
人生を送っていられたかも？


なんて、甘い幻想にひたってしまった。


磨き上げた４本の包丁を
眺めて、、、、




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